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「銀河巡礼」と「銀河鉄道の夜」

エストニアの作曲家、ウルマス・シサスクのピアノ曲「銀河巡礼」が好きで最近よく聞いています。29の短い曲で構成されていて、メロディは少しドビュッシーのようなところがあり、どれもミニマル・ミュージック的展開が特徴的です。同じように宇宙や星をタイトルに取り入れたものとしては吉松隆の「プレイアデス舞曲集」が思い浮かびますが(あとはメシアンの作品?)、吉松が叙情性に満ち溢れているのに比べると、こちらはやや無機質的、硬質な感じもします。しかし私は、繰り返し聞くとしたらシサスクのほうが好きです。

これを聞いていて思い出したのが、小学校低学年の頃に観た宮沢賢治原作のアニメーション映画「銀河鉄道の夜」です。この作品では、公開の数年前にYMOで時代の寵児となった細野晴臣が音楽を手がけていますが(ちなみにYMOでは坂本教授よりも細野晴臣の作った曲のほうが好きです)、当時は全然そんなことを知らずに何だか不気味な音楽だと思いながら観ていました。題材が題材なので夜の暗い場面が非常に多く、映画館で観ると言い知れぬ怖さが込み上げてきたものです。主人公2人やその周辺の人が猫に置き換わっていたり、ドヴォルザークの「新世界より」の第2楽章が流れる場面がやたらときれいだったり、今まで私が観た映画の中では最も心に残っている作品です。すごく笑えたり観た後に大泣きする種類の話ではないのでしょうが、牛乳屋への暗い道のり、黄金の田園風景、りんごの樹、水死する子どもたち、お菓子になる鳥、ジョヴァンニの活字拾い、古い汽車、廃墟、いずれも現在の私の性格形成にとても重要な役割を果たしたといっても過言ではありません。

と、まあこんなことを書いていたら久しぶりに観たくなり、衝動的にDVDを注文してしまいました。4000円しません。安いですね。

結局観に行けなかった「時をかける少女」のDVDももうすぐ発売されるそうなので、これも買いたいと思っています。
by mako_verdad | 2007-01-25 23:02 | 鑑賞活動

1979年生まれ。某国立大学オケへの入団を機にバストロンボーンを始めました。現在はアマチュアオーケストラ「ザ・シンフォニカ」やいくつかのブラスアンサンブル団体で活動しています。2017年に子供が生まれたので徐々に活動縮小予定です。


by makorim