ラハティ交響楽団
2006年 10月 04日
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ラハティ交響楽団―シベリウスのその先へ―
トリフォニーホール・コンテンポラリー・ミュージック・スペシャル2006
10月4日(水) すみだトリフォニーホール
指揮 オスモ・ヴァンスカ
【プログラム】
マデトヤ 交響詩「クレルヴォ」 (1913)
シベリウス 交響詩「タピオラ」 (1926)
ラウタヴァーラ 交響曲第7番「光の天使」 (1994)
(アンコール)
シベリウス 行列
シベリウス 劇音楽『テンペスト』より ミランダ
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全然知らなかったのですが、日本人のメンバーが1人いらっしゃいました(フルートのコルホネン恵理子さん)。指揮者の新田さんのページに色々と書いてあります。
1曲目、マデトヤのクレルヴォは初めて聞きました。作風としては、コメント欄に少し書きましたが、シベリウスの影響を受けつつチャイコフスキー、シュトラウスを足して割ったような感じがしました。しかしながらチャイコフスキーほどには重くなく、シュトラウスほどには響きが厚くなく、北欧の曲だと思いました(根拠なし)。余談ですが、この曲だけ、演奏会の最初だからということもあるのでしょうけど、かなり念入りにチューニングしていました。金管楽器はAでなくBでチューニング。オケでは初めて聞きました。
2曲目、おまちかねのタピオラです。涙が出そうでした。いや本当に。自分が北国の出身だからということでもないですが、シベリウスの後期の交響曲やこの「タピオラ」を聞くと、どうしても冬の暗い情景を思い出さずにはいられないのです(間違ってますかね)。特筆すべきは弦楽器の透明な、それでいて少し野性的な響きでした。シベリウスは作曲家になる前にヴァイオリン奏者を目指していただけあり、静かな部分の弦の用法がかなり精密な気がします。
そして休憩後はラウタヴァーラ。セーゲルスタム/ヘルシンキpoの演奏でこの曲を知りました。幻想的な和音と(解説によれば自然倍音列を多用したものだとか)破壊的な音響が入り混じった私好みの曲です。また鍵盤打楽器とハープの使い方が絶妙で、こういうのに滅法弱いのです。曲中に伸び伸びとしたトロンボーンのソロが出てくるのですが、首席アウティ氏は素晴らしいプレイでした。この人の音は交響曲第7番のCDで聞いて以来のファンです。ところで、トロンボーンがミュートをたくさん使っていました。私の目と耳に狂いがなければバケットミュートまでも使っていたはず。かなり珍しいです。
アンコールの「行列」は初めて聞きました。トランペットのファンファーレに始まる軽快な、しかしどこか北国の重さを引きずった小品。そして最後に演奏したのは劇音楽「テンペスト」から「ミランダ」。物憂げで優しい曲でした。
終演後は団員が去った後まで拍手が鳴り止まず、とてもいい雰囲気の演奏会でした。本当に好きで集まってくるお客さんばかりなのでしょう。
いつかはラハティのシベリウス・フェスティヴァルを聞きに行きたいものです。