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【CD】ストラヴィンスキー作品集

正月だというのに風邪気味で困ったものです。

さて、新年起きて最初に聞いたのは、この前友人に貸してもらった、バーンスタイン/イスラエルフィルのストラヴィンスキー作品集でした。『火の鳥』(1919年版)、『プルチネルラ』(1949年版)、『結婚』が入っています。これを聞いて全く見るべきところのない正月番組のかわりとしました。

『火の鳥』(1919年版)は、昔サマコンでやったことがあるのですが、今日あらためてスコアを眺めつつ聞いてみて、そのオーケストレーションの妙に感心してしまいました。バレエ3部作の中では、確か最初に作られたものであったと思いますが、最初にしてこの大胆な用法、さすがです。1919年版だと、最も好きな箇所は、終曲のホルンソロに入る前の数小節間で、弦楽器がトレモロで徐々に和音を変化させていくところです。これから終曲に入るのだという予感をいやがうえにも高め、ぞくぞくさせられます。あとは、随所に登場するバスドラムの使い方も素晴らしいと思います。

1919年版、トロンボーンは実は余り出番がありません。序奏で数小節、ミュートをつけて吹いた(これは1stと2ndの2本だけ)後は、次に出てくるのは「カスチェイ王の魔の踊り」。しかも、ほとんど効果音です。途中、有名なグリッサンド(1st)が登場しますが、これは初版にはなかったそうで、ストラヴィンスキーはその後トロンボーンの効果音的な使い方に目覚めたのでしょう。実際、『プルチネルラ』の7曲めにもトロンボーンソロで滑稽なグリッサンドが登場しますね。さて、カスチェイのクライマックスをグリッサンドで締めた後は、また終曲まで出番がありません。終曲はずっと吹き詰めですが、トランペットのオクターブ下でメロディを吹いているだけですね。最後は、弦のH音のトレモロの上に、金管がH-Dur→C-Dur→Cis-Dur→F-Dur→Cis-Dur→C-Durと和音を吹いて、H-Durに輝かしく解決します。ちなみに、初版だとバンダのトランペットが高いHの音をずっと伸ばしっぱなしです。とてもきつそうです。

それにしても、こんなめまいがしそうな曲、本当にサマコンでやったなんて信じられません。「カスチェイ王の魔の踊り」なんて、私は中学の頃に「聞き覚え」でこの曲に入ってしまったため、いまだに拍子がわからなくなります。トロンボーンは効果音しかなかったから大丈夫だったんですね。指揮者M先生はこういうとき、本当に魔法をかけるようにオケをまとめていくのでした。終曲のあの楽しそうな表情、今でも忘れられません。

対して『プルチネルラ』、こちらは小編成のアマオケなどで演奏される機会が多いですね。私は3大バレエに次いで好きな曲です。これもまた、最後の最後にトランペットが大変なことをやっていますね。聞いているだけできつそうです。これはC管で吹くものなのでしょうか。

『結婚』は独唱、合唱、打楽器、ピアノ、という編成で、メシアンもこのような編成で『神の現存のための3つの小典礼』『5つのルシャン』を書いているため、やや似たような響きがしました。やはり、編成に制限がつけばつくほど、響きの多様性は少なくなり、だからオーケストラの音楽は飽きなくて面白いんだなあ、と変な感心をしてしまうのでした。あと、吹奏楽からあのような響きを引き出したJ.シュワントナーはやはり偉大です。ちょっと特殊楽器を色々使ってますけどね。
by mako_verdad | 2005-01-01 13:06 | 鑑賞活動

1979年生まれ。某国立大学オケへの入団を機にバストロンボーンを始めました。現在はアマチュアオーケストラ「ザ・シンフォニカ」やいくつかのブラスアンサンブル団体で活動しています。2017年に子供が生まれたので徐々に活動縮小予定です。


by makorim